ご挨拶

 


教授 沖崎 貴琢

「旭川医科大学放射線医学講座のweb siteへようこそおいでくださいました。当講座教授の沖崎貴琢です。私たちの講座は、外照射・IMRT・SRS・RALSなどを行う放射線治療部門、CT・MRIの撮像や読影及びカテーテルを用いた血管内治療を行う診断部門、放射性同位元素を用いて悪性腫瘍の治療や様々な病態を診断する核医学部門の3つの部門から成り立っており、全体としてフレンドリーで魅力的な講座を目指しています。

 また国立大学医学部の使命として、基礎的ないしは臨床的研究、先端診療技術の開発や国民の皆様への社会貢献を果たす必要がありますので、メンバーがお互いに切磋琢磨して多様性にあふれる講座を構築したいと考えています。その結果、科学研究費やパテントロイヤリティーをはじめとした外部資金の獲得の増加が期待できると考えますし、当科の特色を活かした活動を強く推進することが可能となると思います。

 オリジナリティに富み、放射線医学分野に興味を持っている医学生の皆さん、入局先を検討している研修医の皆さん、是非私たちの講座の一員となって下さい。一緒に患者さんの診療を通して社会貢献を行い、独創的な研究を通して医学の発展を目指しましょう。

<技術開発について>

 私たちは、この10年で複数の特許技術を発明しました(特願2011-178820、特許第5863330号、特許第5863554号など)。SUV navigator インターフェイス(特許第5863330号)を用いることで、定量値の測定精度を従来の70%程度から100%に向上させながら、読影時間を平均で半分程度、最大では3割程度に短縮することができます(Jpn J Radiol, 35(7):398-403.2017)。また、部分容積効果補正解像度増加法(特許第5863554号)を用いることで病変のコントラストが有意に上昇し、当院でFDG-PETを施行した1435例のデータ解析の結果では従来型のシステムでは確信を持って診断が出来たのは60%程度でしたが、本システムを用いることで90%以上の症例で確信を持って診断が可能となりました(Medicine, 96(52):e9472. 2017)。なお、部分容積効果補正解像度増加法に関しては本学知財センターの先生方のご協力により国際特許の取得も無事に完了しました(US patent US 9159120 B2)。

 これらの特許技術は、秘密保持契約の締結の上で私が書いたソースコードとともにISB社へ提供され、製品開発フェーズを完了、2017年末には薬機承認が取得されました(認証番号:229ADBZX00127000)。2018年4月より同社によって画像診断ビューア (L-Share Viewer)として国内の販売が開始されており、本学にとっては特許使用料の形で収入を得ることが可能なビジネスがスタートしています。

 コンセプトのみを提示して企業に技術開発してもらう形態は他大学でも時折見受けられますが、技術開発、特許取得、プロトタイプのソフトウェア作成、臨床上の有用性の検討までのステージを私たち旭川医科大学の内部のみで全て完結できていることから、スピーディーで臨床医のニーズを的確に反映した製品開発が可能となっており、またパートナー企業との共同製品開発に関してもスムーズにプロジェクトを推進することが可能となっています。これは旭川医科大学放射線医学講座の持つユニークな特長の一つと考えます。」

旭川医科大学放射線医学講座 教授 沖崎 貴琢

各部門について
・画像診断部門
CTやMRIなどで得られた画像から考え得る病態をピックアップし、治療に役立ててもらうのが仕事です。関心領域のみではなく、体の隅々まで目を行き届けることのできる唯一の診療科であると自負しています。また、CT・MRI機器が日進月歩で発展する中、その画像解釈は自ずと難しくなり、私たち放射線科医の役目は日に日に大きくなっています。また、画像診断部門ではIVR(interventional radiology)にも携わっています。主に、カテーテルを使用した血管内からの治療を行っています。外傷や術後出血などの救急疾患に対して24時間体制で対応する一方で、頭頸部や肝臓などの悪性腫瘍に対する動注療法なども施行しています。更には、CT画像をガイドにして、膿瘍ドレナージや生検なども行っています。

・放射線治療部門
現代医学では欠かすことのできない部門です。現代医学の最大の敵である癌が、まさに放射線治療の主戦場であり、手術・化学療法のみでは治癒しえない症例でも、放射線治療を加えることで、時には放射線治療単独で完治することもあります。

・核医学部門
放射性同位元素を利用して、様々な臓器の形態・機能評価や、特にPET-CTで、悪性腫瘍の発見・病勢評価を行っていますが、これ無くして現代医学は成り立ちません。また、放射性同位元素を用いた甲状腺疾患の治療にも精力的に取り組んでいます。