SUVナビゲーターつきPET/CT viewerの開発

要旨

我々はPET/CT読影において重要な半定量値である最大SUVを簡便に測定するためのユーザインターフェイスを考案した。 SUVの測定精度は71.6%から100%に上昇、読影レポート作成の速度は従来の60%の時間で、最大では35%の時間で作成が可能となり、スピーディかつ正確なSUVの測定が可能であった。 また、部分容積効果を補正しながら解像度を増加させるアルゴリズムも併せて開発した。 病変の見落としを防ぎ、読影医の負担を軽減可能で、有用と考えられた。

現在までの経過

我々が開発したPET/CT viewerの特徴として、主にSUVナビゲータ・インターフェイスと部分容積効果補正解像度増加アルゴリズムの2つが実装されている点が挙げられる。 まずSUVナビゲータに関して、速度の優位性について米国核医学会で発表したところ、2013年のHighlightとして取り上げられ、The Journal of Nuclear Medicine(17N, vol 54, No.11, Nov 2013)の記事でも言及された。 また、悪性腫瘍の治療前評価及び治療効果判定に用いられる半定量指標として、最大SUVがFDG-PET/CTでは重要である。SUVナビゲータによる最大SUV測定の正確性に関しては2014年の欧州核医学会でも発表を行った。 これらの結果に関しては現在論文投稿中である。 更に解像度増加アルゴリズムの臨床的有用性に関しても、現在データ解析中であり、近い将来、学会発表及び論文投稿を予定している。
また、社会・経済・文化的な側面としては、Viewerを開発するにあたって、複数の新技術を発明し、国内特許2件を取得、国外2件の特許を出願中である。 その他にも2011年の医学部合同新技術説明会、2012年のイノベーション・ジャパンでも展示、発表を行った。 現在、多くの企業に興味を持って頂いており、そのうちの数社とは既に秘密保持契約を締結し、共同研究及びソフトウェアの販売及び事業化へ向けて準備中である。 更に、2015年には日本経済新聞及び北海道新聞の記事として取り上げられた。 この結果、かなり遠方からも記事を読んだことをきっかけにPET検診あるいは癌の治療を当施設に受けにくる患者さんが見受けられるようになった。 加えて、九州工業大学及び北見工業大学とも共同研究の可能性について調整中である。 更に我々の開発したviewerは現在、当施設及び関連病院1施設でも読影作業に補助的に使用を開始しているところであり、実際に使用したPET核医学専門医からは大変良い評価を得ている。

関連実績

沖崎貴琢、中山理寛、石戸谷俊太、油野民雄:SUVナビゲータの使用による読影時間の検討、2012 核医学会総会(札幌)

A.Okizaki, M.Nakayama, S.Ishitoya, T.Aburano:Accurate SUV estimation using a SUV navigator、2013 春期放射線総会(横浜)

A. Okizaki, M. Nakayama, S. Ishitoya, J. Sato, T. Uno, N. Nakagami, Y. Ishikawa, M. Sakaguchi, and T. Aburano:A utilization of SUV navigator interface to reduce the time on film reading of F-18 FDG PET/CT, 2013 SNM (Vancouver), J Nucl Med. 2013; 54 (Supplement 2):1629

A. Okizaki, M. Nakayama, T. Uno, J. Sato, M. Sakaguchi, M. Takeda, K. Watanabe, N. Yamaguchi, T. Nakamura, S. Ishitoya, K. Nakayama, N. Nakagami: An utilization of SUV navigator interface for precise measurement of SUV on F-18 FDG PET/CT., 2013 EANM (Lyon) ,Eur J Nucl Med Mol Imaging 40 (suppl2):S300, 2013

A.Okizaki, M. Nakayama, S. Ishitoya: An utilization of SUV navigator interface on F-18 FDG PET/CT., 2014 放射線総会(横浜)

A. Okizaki, M. Nakayama, S. Ishitoya, J. Sato, T. Uno, M. Sakaguchi, N. Nakagami, M. Takeda, K. Watanabe, R. Suzuki, T. Nakamura, K. Takahashi: An utilization of SUV navigator interface for speedy film reading on F-18 FDG PET/CT with Bland-Altman analysis., 2014 EANM (Goteberg), Eur J Nucl Med Mol Imaging 41 (suppl2):S525, 2014
沖崎貴琢、油野民雄:画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム(SUV navigator),
特許 第5863330号

Atsutaka Okizaki, Tamio Aburano:Image processing equipment, image processing method and recording medium(SUV navi) ,PCT/JP2012/070470

沖崎貴琢、油野民雄:画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム(部分容積効果補正解像度増加法)、特許 第5863554号

Atsutaka Okizaki, Tamio Aburano: Image processing equipment, image processing method and recording medium(generation of hi-resolution image with partial volume cancellation), PCT/JP2013/060451